BOOKS
ブッダも笑う仏教のはなし

笑い飯 哲夫
サンマーク出版
発売日:2016-01-07

BOOK REVIEW

今回紹介する本は『ブッダも笑う仏教のはなし』(サンマーク出版/2016年)です。

著者は吉本興業に所属しているお笑いコンビ「笑い飯」の哲夫さん。2010年に漫才の日本一を決めるテレビ番組「M-1グランプリ」で優勝を果たし、テレビのバラエティ番組にもよく出演しているため、ご存知の方も多いでしょう。
そんな哲夫さんは、じつは仏教についても造詣が深い人物です。もともと趣味だった写経(お経を書き写すこと)を芸人仲間に発見され、「仏教好き」を公表してから、各地で仏教をテーマにした講演会を開催しているほど。2011年には東京大学でも講演を行い、500人以上の東大生に熱弁をふるいました。
本書はタイトルのとおり、仏教の開祖であるブッダも思わず笑ってしまうような、芸人さんならではのおもしろエピソードを駆使して、仏教の思想や歴史をわかりやすく教えてくれる一冊となっています。
もちろん、ただ単に仏教について学べるだけではありません。本書の冒頭では、次の言葉が書かれています。

仏教ってね、 死んだ後のことよりも、 生きてる間のことを言うてるみたいですよ

この言葉のとおり、本書では仏教の教えを通じて、いまを生きている私たちがもっと幸福に毎日を過ごすためのヒントを、哲夫さんなりの解釈を交えて、親しみやすい関西弁の文章で教えてくれるのです。
なかでも秀逸なのが、仏教の教えを身近な事例で教えてくれる「例え話」。ここでは、とくに私がおもしろくてわかりやすいと感じた
・「この世は、すなわちカレーである」
・「この世は空だと教えてくれる般若心経とアーモンドチョコレート」
の2つをご紹介します。
まず1つ目は、「この世は、すなわちカレーである」です。これは仏教におけるとても重要な概念「「諸行無常」と「諸法無我」を説明するためにカレーでたとえています。

この世はカレーです。大きい大きいお鍋に入ったカレーです。カレーライスではありません。かける方のカレーです。カレーのルーと言ってもその部分を想像してもらえるかもしれませんが、カレーのルーは固形のあれを指すらしいので、ここではカレーと表記させてもらいます。(中略) そこに、無数の小さい小さいおたまがカレーを掬いにきます。そして、各々のおたまにカレーが溜まります。その溜まったカレーが、この世で各々個別に見えている物や人です。例えば、一つのおたまにたまたま溜まったのが一匹のコオロギさん、また他のおたまにたまたま溜まったのが鈴木宗男さん、また別のおたまにたまたま溜まったのが宗男さんのムネオハウス、同じく他のおたまにたまたま溜まったのが体育館の傘立てにずっと放置してある傘、そしてまた、他のおたまにたまたま溜まっていたのが自分という感じです。 なお、この無数のおたまには小さい穴があいていて、掬ってもカレーはやがてお鍋に戻るんです。鍋に戻ったカレーは、元々鍋にあったカレーとごちゃごちゃになり、また全体的なカレーになります。この例え、いいでしょ。よだれが出てくるでしょ。

もうひとつは、般若心経が「色即是空」(この世に実体はない)をなぜ人々に伝えようとしているのか、その理由をアーモンドチョコレートで教えてくれます。

スライド式で箱を開けるアーモンドチョコレートがあります。今、あの箱が閉まっている状態で、机の上に置いてあるとします。絶対一つ食べたくなりますよね。なぜなら、箱においしそうなアーモンドチョコレートが印刷されていますからね。食欲を煽られるんですよね。そして、箱を開けた時、中身が空だったら、残念ですよね。 「なんやねん、入ってへんのかえ」 つまり、空ける前に中身があると思ってたから、残念感があるんです。中身がありそうな箱の雰囲気、おいしそうなアーモンドチョコレートの写真に、煩悩をくすぐられたんです。ところが、最初からその中身が「空」だと思っていたら、そんなに残念ではありません。さて、そこにまた他の人がやってきます。 「あれ、アーモンドチョコレートや。一つもらお」 そこで、もう既にこれは「空」だと知っている人は、新たにアーモンドチョコレート狙いでやってきた人に教えてあげますね。 「それ空やで」 この、前もって「空やで」と教えてくれているのが、般若心経です。 「あ、ありそうやと思ってるやろ。色なだけやで、実は空やで」 と言っているんです。

これ以外にも
「『釈迦』にはトヨタ的な意味がある」
「『天台宗』はなんでも置いてるドラッグストア」
「『縁日』はお寺の特売日」
などなど、一般的な日本人が思わず「なるほど、そういう意味だったのね」と納得してしまうようなおもしろい例えが満載です。

仏教に興味がある方はもちろん、日々の生活で「なんかしんどいなー」と思っている方も、読んでいるうちに気分が楽しくなってくる、お勧めの一冊です。

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