人材活性プロデューサー
大谷由里子さん
インタビュー

人材活性プロデューサー 大谷由里子(以下、大谷先生):22歳で吉本興業に入社して、25歳まではタレントのマネージャーやタレントの売り出し・プロデュースをやってきました。

メインは横山やすしさん、宮川大助・花子さん、若井小づえ・みどりさんの担当をさせてもらいました。25歳の時に結婚、退社。27歳で起業、企画会社を始めて販売促進・セールスプロモーションをやってきました。

その会社は M -1グランプリの事務局をやったり、大阪のNHKサービスセンターの代理店をやったりするようになり、38歳で後輩に譲りました。

その後、教育研修会社「志縁塾」を立ち上げ、“志のある人を作る” “志のある人を縁でつなぐ”という活動しています。

—–作家になろうと思ったきっかけは何ですか

大谷先生:小学校の時は、図書委員会をやるぐらい本が大好きでした。小学校2年生〜4年生までアメリカにいて、日本語に飢えた時期があったことも影響しています。

日本から送られてくる本を片っ端から読みましたね。父親は大学の先生で、母親は小学校の先生をやっていたので、本に囲まれている家庭でもありました。テレビも一家に1台しかない時代だったので、私にとっては本が宝物。

父親のエッチな本まで全部読んでしまうほどの本好きだったので、「いつか自分で書きたい」という思いは、小さな頃から持っていましたね。

大谷先生:実際に本を書くことになった大きなきっかけは、31歳の時に経験した阪神淡路大震災です。自分の友達や社員のご親戚が亡くなることを目の当たりにして、「人間はいつか死ぬんだな」「いつどこで何があるかわからない。」ということを強く実感しました。

その時に「何か残したい」と感じて、最初の1冊目『吉本興業女マネージャー奮闘記「そんなアホな!」』を出版することに。

大谷先生:吉本興業でどうやって成長したのか 、吉本興業で何を学ばせてもらったのか、そんなことを本にしていきました。この本がロングセラーになったことがきっかけで、講演に呼ばれるようになったんですよ。

その講演の経験が積み重なり、いつの間にか「どうやったら大谷さんのような講師になれるんですか?」と聞かれることが増えたので、『講師になったら読む本』を書くことに。

その次は「大谷さんみたいに元気に生きてい人っていっぱいいますよね。」という話を頂いて、『元気セラピー』という本を書いたり。

それも全て1作目の吉本興業女マネージャー奮戦記が、ロングセラーになったことから始まりました。それ以降もオファーを頂くようになって、「気付いたら34冊書いていた」というだけのことです。

—–ジャンルも多様ですが、その時々に自分の中にあるもの・関心がある事柄を本にしているのですか?

大谷先生:本は時期とタイミングがあるんですよね。『吉本興業女マネージャー奮戦記』は自分の経験を書きました。「吉本興業にこんな風に育ててもらった」「どんな風にタレントと絡んでいたか」「横山やすしさんを通して何を学んだのか」「どうやって大助・花子を売り出したか」を本にしました。

こうして1冊目が扶桑社から出版されましたが、当時扶桑社はとても勢いがあったんです。ビストロスマップの本が出ていたから。「ビストロスマップを置くかわりに 、大谷由里子の本もお置かせてくれ」という感じで売り込んでくれました。そんなこともロングセラーになったことに影響しています。

そうすると今度は、吉本興業でのことだけではなくて、自分が起業してからのこともメッセージとして伝えたくなってきた。

そして次に書いたのが『「仕事」、「子供」、「両立」ってどうやんねん?(講談社)』

大谷先生:その本が社会的な男女共同参画の波に乗ったんです。「両立」というのがキーワードで、「 女性も社会に参画する時代」という波に乗って、その本もすごく売れましたね。

実はこのタイトルは実は講談社の営業部がつけたんです。

それから講演会で元気に講演をしているうちに『元気セラピー(KKロングセラーズ)』という本を出版することになり、「元気に生きるって大事だよね」「元気でいるからこそ仕事の面白さがある」ということを伝えました。

その本がまたメンタルヘルスの波に乗り、ありがたいことにたくさん本が売れました。

—–先生が伝えたいことが伝えとマッチしたということもあるんですね。

大谷先生:すごいありがたいことに。そして講演に呼ばれているうちに、私の周りに講師になりたいという人が増えてきて、『はじめて講師を頼まれたら読む本(KADOKAWA)』を出版することになりました。「講師の本なんてスーパーニッチだ」と言われていましたが、蓋を開けてみたら講師になりたい人がたくさんいて、いきなり十数刷り。

私は、本に関してはすごくラッキーな波にに乗ってきたかなということはあります。

—–様々なジャンルを出版されていますが、それも全て先生のご経験から出てきたものなんですね。

大谷先生:1冊1冊の本が自分にとっては棚卸になっているかもしれない。自分が棚卸したことを少し世の中の役に立ってくれたかなと思っています。

—–今の時代にはどんな本が求められていますか?

大谷先生:よく「何を書いたらいいんでしょうか?」とご質問を頂きます。私の場合は、「これを書いたら売れる」と考えて書いていないんです。自分が書きたいこと、伝えたいこと、世の中から必要とされていることを書いてきました。

「何を書いたらいいの?」という人には、「それだったら書くな」と言っているんです。(笑)自分が伝えたいものを書くから、そこにエネルギーがあるわけじゃないですか。

書きたいものを書く。次のステップの本の売り方に関しては、最近は本を出したら自分でたくさん売っています。待ってて本が売れる時代ではないですからね。

—–先ずは自分から溢れ出るエネルギーを本にすることが大事ですね。

大谷先生:もう一つは出版社がネタを探している時があります。例えば、『「出会い力」の磨き方~また会いたい!と思われる人になる、ちょっとした方法~(PHP研究所)』は、出版社から「営業に使える本を大谷さんに書いて欲しい」というオファーがありました。このテーマについてはオファーを頂いたから書こうと思いましたね。

出版社が欲しい本と、自分が書きたい本がマッチングすれば書かせて頂く。私に「マナーの本を書け」と言われたら、絶対無理だよね。時々講演の依頼でも「大谷さんマナー講師やって」と言われますが、私には無理ですと言ってお断りしています。

—–作家に向いている人はどんな人ですか?

大谷先生:やっぱり伝えたいこと、書きたいことがある人。それが一番だと思います。講師も同じです。伝えたいことがあるというのはすごく大事です。

その上で重要なのは、「伝えたいことがあるなら、伝わる形にすること。」自分の言いたいことだけ言っていたら、ただの説教になってしまうじゃないですか。

『元気セラピー(KKロングセラーズ)』の内容が、「元気って素晴らしい!とにかく元気になりましょうだけ!」では、抽象的で読者の皆様に伝わらないじゃないですよね。具体的に「どうやったら元気になれるか」「どんな考え方をしたら元気になるか」をきちんとロジックに落とし込んで伝えることがとても大切です。

私は、講師塾や講師のトレーニングをやっています。講師をやる上で、まず思いがあることは大事。でもそれをそのまま伝えてしまえば、「仲間内で喋って下さい」とお願いされて講演をするレベル。もちろんそれが悪いわけではありません。

でも、講演をしてお金を頂くレベルになっていくためには、ちゃんと汎用性があるようにしていかなければだめだよと伝えています。

—–人気講師の特徴はありますか?

大谷先生:若いうちは女性は綺麗な方が得ですよね。若いとかイケメンとかは絶対得ですよね。最初は写真で選ぶじゃないですか(笑)。外見を磨くということも大事です。

他には主催者側のニーズもありますね。20代向けの講演なら、30代から40代前半の講師を探していることがあります。講師が50歳代以上になってしまうと、「20代に方に聞かせても、難しいかなぁ」という気持ちをお持ちですよね。

他にも経営者向けの講演になると、ある程度社会的な事柄と絡めた内容を話すことが必要になってきます。政治と絡めたトピックを話せる講師を主催者が、探している場合もあります。

—–相手のニーズや社会情勢と合わせて、自分の伝えたいことや経験を言葉にしていくということも必要なんですね。

大谷先生:「どうしたら大谷さんみたいに、銀行のお客様会に呼ばれるんですか?」「経営者の協会団体に呼んでもらうためには、どうしたらいいですか?」「 議員さんの勉強会で講演できるのはどうしてなんですか?」というご質問をいただきます。

この時にご説明しているのは「B to B」と「B to C」の違いです。企業や協会の方を対象とした場合はB to B。個人の方を対象とした場合はB to C。

B to Bの講演をやりたい場合は、いろんな分野のことを汎用性を持って語れる必要が出てくるんですよね。地方創生のことを話題にする場合、いろんな地方創生の成功事例を知っていることが必須です。

もちろん待っていても良い情報は訪れません。私は自分自身で調べに行きます。

地方創生でうまくいった事例があれば、それを仕掛けた人の本を読むし、実際にアポを取って話を聞きに行く。最近の話題では、なぜ沖ノ島がこれほど盛り上がっているのかを取材してきて、それを元にして講演をしています。

—–ご自身で積極的に情報収集しているということなんですね。

大谷先生:講師塾のメンバーには「常に旬であることは大事だよ」と伝えています。あなたが話したいことと、あなたが話したい事にお金を払ってもらえるかどうかは別問題。

講演という業界で言えば、ライバルは櫻井よしこさんであったり、財部誠一さんであったり 、池上彰さんであったりするわけなので、その方達の本を読んでみることも大切です。

気がつくと、自分の身近な方達が書いた本ばかりを読んでしまいがちです。でも世の中の社長たちは、先ほど挙げた方々の本を読んでいるのだから、講師の私たちも読む必要がありますよね。

「それをヒントにして、自分自身の講演も加工していくことが大事だよ」と伝えています。

—–先生が一番印象に残っている講演はありますか?

大谷先生:印象に残っているというより「若い子の力はすごいな」と感じた講演があります。それは日本女子大学での講演です。

数年後、その時に講演を聞いていた女子大生が日経新聞に就職していて、日経新聞主催の講演会を彼女が任された時に、私を呼んでくれました。

「若い子達は数年経っても覚えていてくれて、実際に行動を起こしてくれるんだ」と感動しましたね。その女子大生は「その時の講演がすごく響きました。私は日経新聞に就職して絶対に大谷さんを呼ぼうと思ったんです。」教えてくれて、上司を説得して私を選んでくれたようです。

他には酒田南高校で、月1の特別授業を任せて頂いたことです。現状として、「地方に行けば行くほど、どんな仕事があるか、仕事の多様性が分からない。」傾向があります。

そこで私と私の仲間たち、中村文昭君とか、30代で上京した谷井等君達も参加して、仕事に関しての授業をしました。

その授業を3年間続けた時に校長先生が「今年は1人もフリーターもニートも出なかった。」と教えてくれたんです。子供たちは全員、自分のやりたいことに向かって「働くか、進学しよう」と思ってくれた。

「食べたもので体が作られる。聞いた言葉で心が作られる。話した言葉で未来が作られる」私はこの言葉がすごい好きです。

「いろんな仕事を伝えたい」「いろんな生き方を伝えたい」という思いを持って、全国講師オーディションという企画をやらせて頂いています。大谷由里子のお金の持ち出しと言われているんですけれども。(笑)

—–先生が講演をする際に1番大事にしていることは?

大谷先生:1番意識していることは「結局人は自分の感情が動いたことしか心に残らない」ということ。だから「もっと学んでみたい」「こんな世界を見てみたい」という相手の感情を動かすキラーワードをいかに盛り込むか、ということこだわっています。

こだわりは絶対にパワポは使わないことです。よく講師塾メンバーに「パワポ使うのはダメですか?」と聞かれます。「だめじゃないけどパワポ使ったら説明になるよ。」と答えています。パワポを使って説明しても、人の心には残らない。

「ヒトラーがパワポ使ってたら、絶対に大衆を動かせなかった。」というのが私の持論。 キング牧師は パワポ使ってへんやろ」「アメリカ大統領は演説でパワポ使えへんやろ」と。(笑)

—–キラーワードはどんな風に選んでいるのですか?

大谷先生:いい言葉だなと思ったことはメモしておくし、電車の中吊り広告でも「この言葉使えそう」とチェックしています。

—–本を読むコツはありますか?

大谷先生:本を読んで心に刺さった言葉人に伝えてください。人に10回言ったら自分のものになるから。ブログでもSNSでも構わない。自分で反芻することで自分の中に入ってくる。自分の言葉を一番聞いているのは自分なので。

ただ内に留めておくだけではなくて、アウトプットしてほしいってことですね

留めておいても忘れてしまうからね。一晩寝たら9割忘れますから。小説なんかでもそうですよ。「あれ、これ何か私結末知ってるなあ」と思いながら読んでることはありますよね。

誰かが「1番辛いのは、こっそり借りてきたエッチビデオが前に借りてきたやつだった」ってね。

—–先生が次に書いてみようと考えている本はありますか?

大谷先生:小説書きたいですよね。目指せ東野圭吾です。「スリル・ロマン・サスペンス」の小説を書きたいなと思ってるんです。ビジネス書の方が本になりやすくて、小説は難しいです。小説は賞を獲ったりしないと、なかなか本にはならない。

実は応募したこともあるんです。小説の方が、片手間では作れない。ビジネス書を出版した人もたくさんいますが、小説家になりたい人も多いんですね。

—–最後に読者の皆様にメッセージをお願いします。

大谷先生:小説もビジネスも含めて、本を書きたいという人はたくさんいらっしゃると思います。「とにかく書きたかったら書いてください!」といつも言っています。

本になるということは自分を残せるということです。私はシリコンバレーでチャリティー講演会をやっていて、集まったお金はグローバル女子会と言って、世界で活躍する女子大生のために寄付しています。

そこで募金してくれた人には、私の本をプレゼントしています。自分の本がシリコンバレーに残っているってなんか嬉しいじゃないですか。

それが10年後20年後も、巡り巡って「大谷由里子の本を読んでもらった」というのはすごいことなんだと思います。だから自分の言葉を残して欲しい。夢とロマンを持っていて本を書きたい人は、ぜひぜひ書いて頂きたいなと思います。

大谷由里子(おおたに ゆりこ)
京都ノートルダム女子大学を卒業後、吉本興業に入社。故・横山やすし氏のマネージャーを務め、宮川大助・花子、若井こずえ・みどりなどを売りだし注目を集める。 2003年、研修会社の志縁塾を設立。「笑い」を取り入れた「人材育成研修」は、NHKスペシャルなど多くのメディアで話題となっている。 現在は、年間300を超える講演・研修をプロデュース中。


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